リスクテイクせずして、変革や改革は成立しない

私はリスクテイクする人と馬が合う。


これは必ずしも、創業社長として経営者をやっているからではない。子供の頃から今も変わらないが、好奇心は人一倍強いほうだ。 


どうも、最近、私の先輩方と接していると、これは一生変わらないと確信が持てる。

だから、安心してこのまま過ごしたいと思っている。

一方で、リスクマネジメントという仕事もやっている。これは私の場合、リスクテイクするなかで様々な失敗をする中で会得してきたつもりである。


余りにも有名な言葉がある。

石橋をたたき過ぎて割ってしまう。つまり、リスクコントロールが過ぎるあまり、結局は、リスクテイクをやめてしまうという意味合いでもある。


今の日本は新興国などに比べると、総じてリスクテイクができない国だ。

古今東西、洋の西洋・・問わず、成功をおさめ栄華を極めると人間は守りに入る。一旦守りに入ると、なかなか攻めに力を入れることは難しい。


日本の戦後の歴史に当てはめても、このことは容易にわかる。

リスクテイクしかなかった日本。

戦後復興を遂げて経済面と物質面では突出した成功を収めた。ところが、もう30年近く改革が遅々として進まない。ある意味、どんどん新興国にも抜かれつつある。


私は日本人として失望している訳ではない。どこかで転換期が来るはずで、それはコロナ禍で前倒しされたと思っているが、そろそろだと確信している。

その根拠の一つは新興国の動きだ。

すでに数多くの革新的な変化が連続的に生まれている。江戸時代の開国ではないが、やはり外からの影響は大きい、今の日本は少なからず新興国と深いつながりがある。

そいう意味でも改革へ向けての良い刺激が得られることと思う。


もう一つはコロナ禍で、ピンチはチャンスなりという機運が確実に高まっていることである。いずれにしても他人ごとではなくこういう最大のチャンスに積極的なリスクテイクしていたいと思う。


主に金融の世界で、リスクアペタイトという言葉がある。アペタイトは食欲というような意味で、リスクをとることに貪欲であるという風に私は理解している。冒頭で書いた好奇心と近い。


このアペタイトがない人に、リスクテイクを期待しても期待外れに終わる。

リスクテイクできる人は、どちらに力点を置くかと時間配分の問題だけで、やる気になればリスクコントロールは出来る。自分でするか誰かに委託するかである。


世の中にリスクテイクだけで前進できる人はいない。なぜならばリスクコントロールもセットでしないと、100%失敗に終わるからだ。


一方で、リスクコントロールが得意な人をリスクテイク側に向けるのはとても困難だ。

そもそも、リスクテイクに向いていれば、よっぽどでない限り、リスクコントロールの仕事には従事しない。


大企業などが典型であるが、そもそも大企業はリスクテイクをめったにしない。

諸々の理由があるが、今の日本の大企業は総じてリスクコントロールの典型だ。


言い換えれば攻めと守りの守り重視だ。

サッカーで攻めずに徹底防御の戦法だ。仮に勝利したとしても観客からは喜ばれないし進化もない。

中小企業も戦後はリスクテイクの塊で発展してきたが、今は様々な問題で保守的である。


そして、結果どうなるかというと、日本は総じてリスクコントロール、つまり守りができる人ばかりになってしまった。

そして、ローリスクハイリターンかローリスクミドルリターンを目指す。

さみしい話である。


私の願望としては、全世代でリスクテイクできる人が増えてほしいが、現実的ではないのでやはり、新興国の起業家にも期待したいと思う。ハングリー精神と貧困がベースの彼らと伍すことで日本も覚醒するのではと思っている。

何度考えてもここに結論が行きつく日々である。


以上

近藤昇オフィシャルサイト

株式会社ブレインワークス 代表取締役 近藤昇