見えないものの進捗管理は極めて難しい

今、見える化がブームだ。

少なくとも私が働いてきた約この40年では、最大のブームと言える。


もっとも、私が社会人の頃には、見える化という言葉すら聞いたことがない。まだ、バブル崩壊前で、見える化など必要なかった時代だ。


そもそも、経済成長に陰りが見えて、企業が利益を獲得するのが困難な時代が来ると、当然、企業は業務の合理化、効率化を実施してコスト削減を図る。

また、顧客の囲い込みが、企業の経営課題の重大ごとになるり、顧客の関係性、顧客との接点の見える化が進む。

そして、社員一人一人の生産性にもメスを入れる。その方法は単純化して言えば、一人一人がどんな仕事を何時間行ったかを把握することになる。

これを突き詰めていくと、今、日本の行政や企業で一気に取り組んでいるABCに行きつく。


ABCについては、先日のブログでも書いた。

この見える化ブームの中、仕事やプロジェクト単位で考えた場合、世の中には見える化しやすい仕事とそうでない仕事の2種類あることが分かる。

例えば、工場の労働者として働く場合は、仕事の見える化は相当できている。工場のラインでは多くの人が働いているが、全て標準化されていると言っても過言ではない。どんな工場でも生産計画があって、品質確保を前提に、決められた量が計画通りに作られる。それにかかるコストも完全に掌握されている。成果物は製品である。これは、新興国でも同じだ。

専門家でなくても、素人から見ても、工場の業務はとても見える化をしやすい。


では建築分野はどうだろうか?

建築工事現場を眺めていると、日本の場合は、実にハイレベルな工程管理が行われているのが分かる。工程表も工事現場に掲示されているし、近場の工事現場を眺めていても、見事な進捗管理だ。


建築の場合は、出来形管理ができる。

つまり、基礎ができたら基礎ができたと目視できる。鉄骨の構造物が出来たらできたと認識できる。もちろん、耐震構造の強度などの確保は別の問題であるとしても、実に、出来上がる過程が判断しやすい。

だから、私は、出来るだけ出来形管理の意識で、見えにくい成果物や工程の仕事をマネジメントする。


一方で、見えない仕事の典型が企画仕事だろう。

もちろん、企画が完成すれば、それが成果物として評価することはできる。

しかし、それは極端に言えば、0か100の世界だ。企画の仕事で、考察や試行錯誤の過程を出すと言ってもなかなか難しい。


だから、企画系の仕事はなかなか、標準化できない。そして時間でする仕事でないとも言われる。だからと言って、完全成果主義と言うわけにもいかない。


最後に、私も長年関わってきたソフトウェアを制作する仕事を考えてみる。

こちらは、随分前から、建築工事ほどではないが、工程の過程を細分化して、しっかりと、途中の仕掛成果物の管理を厳密化することが行われてきた。

ただ、今でも見積もりもエンジニアによってばらつきがあるし、進捗管理もなかなか難しい。最近は、ノーコードブログラミングが主流になりつつあり、それが実現すると、プログラミングは半自動化が進む。

だからと言って、ユーザー側の要望を設計側に伝えるのは属人的である。結局、人が関わる創造的な仕事は見える化には向かないという事になる。


私が考えるに、結局は、実際のプロジェクトの進捗過程とは別に、創造する仕事を行っている人のノウハウや暗黙知を見える化をしておくことが大切だと考える。それは、できるだけ記録するということに他ならないのである。


以上

近藤昇オフィシャルサイト

ブレインワークスグループ CEO 近藤昇