ブルーでもレッドでもないオーシャンはどこに?

ブルー・オーシャン、レッド・オーシャン。

登場頻度、そこそこのビジネス用語である。

単純に考えれば、ある会社の事業領域として、ブルー・オーシャンかレッド・オーシャンを攻める、開拓するという話になり、一般的な常識では、ブルー・オーシャンを探せとなる。


ここで、まず、ウキペディアで調べてみる。

ブルー・オーシャン戦略(ブルー・オーシャンせんりゃく、: blue ocean strategy)とは、INSEAD(欧州経営大学院)教授のW・チャン・キム英語版)とレネ・モボルニュドイツ語版)が著したビジネス書、およびその中で述べられている経営戦略論である。日本語版はランダムハウス講談社から2005年に刊行されている。

<概念>

ブルー・オーシャン戦略によると、血で血を洗うような競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海)」とし、そこから可能な限り脱却して、競争のない理想的な未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海)」を切り開くべきだと説いている。

そのためには、自分の業界における一般的な機能のうち、何かを「減らす」「取り除く」、その上で特定の機能を「増やす」「新たに付け加える」ことにより、それまでなかった企業と顧客の両方に対する価値を向上させる「バリューイノベーション」が必要だと主張している。そのための具体的な分析ツールとして、「戦略キャンバス」などを提示している。

従来からよく知られているマイケル・ポーター競争戦略では、「事業が成功するためには、低価格戦略か差別化(高付加価値)戦略のいずれかを選択する必要がある」と主張しているが、ブルー・オーシャン戦略では「『減らす』『取り除く』ことによる低コスト化と、『増やす』『付け加える』ことによる顧客にとっての高付加価値は両立し得る」と主張している。

韓国サムスングループは、組織的にブルー・オーシャン戦略を実践していることが知られている。


どこの会社も、新商品、新サービスを開発することは、生き残りのためにとても重要だ。例えば、ヒット作が出る。そして、しばらくは独占的に儲かる。やがてライバル企業が登場する。それでも儲かる新規市場であれば、更に、参入する企業は増える。そして、過当競争のレッド・オーシャンとなる。

業界で言えば、日本の場合すでにある業種はほとんどがレッドオーシャンである。

日本のように人口が減って、マーケット縮む国では当り前のことである。出版業界などは典型である。

業界ではなくとも実は新興国ビジネスでも似たようなものだ。20年前のベトナムは、日本の企業からは魅力的なビジネスの場所ではなかった。ところが、今は、日本から見たら、超有望な新興国となっている。

これだけ見れば、ブルー・オーシャンからそろそろレッドオーシャンに移行するようにも感じるが、短絡的に考えては事実を見誤る。

そもそも、ベトナムが日本から注目されていなかったときから、すでに、近隣のアジアの国や欧米は、積極的にベトナムでビジネス展開している。単純に考えると、日本から見るとブルー・オーシャンでもとっくにレッド・オーシャンになりつつあったのである。


まあ、こんな風に、ブルーかレッドかをもっともらしく語る日本の経営者やビジネスパーソンは大丈夫かと思う事も多い。

簡単に言えば、こういう思考回路で、ブルーやレッドを口にする殆どの人の根底には、会社が儲かるかもうからないかしか考えていない。

もっと言えば、レッド・オーシャンは茨の道である。だから避けたい。こういう短絡的思考が多い。ブルー・オーシャンにしても、ファーストペンギンとしてリスクを顧みず、果敢にチャレンジするのではなく、誰かが目を付けた先に、後からついて行くというブルー・オーシャン的発想の人も残念ながら多い。


私のビジネス感は違う。

業界が好調だからトライするとか、斜陽産業だから、参入しないとか、そういう判断ではない。ブルーでもレッドでもないオーシャン。


それは、そもそも、自社が社会に貢献できるか?世の中の改善につながるか?本当にその革新的なビジネスは世の中の人を幸せにするか?


こういう観点でビジネスのフィールドを決めていけば、結果、それがたまたまブルーだった。結果それは大変なレッドだったけれども、そこのマーケットが消えるわけではない。

仮に消えるとしたら、何かの代替えが必要になるだろうから、結果、ブルー・オーシャンになるかもしれない。


こんなことを考えていると、ブルーかレッドの会話が目立つ日本と言うのは、根底に自社が儲かるかそうでないかの視点で、仕事している人が多いからだと断言できる。

そのビジネスが本当に健全な世の中に必要かどうかの判断が先で、結果、ブルーであってもレッドでも良いと常々思っている。


企業経営のあり方の大転換期であることは疑う余地はない。うわべのSDGsも世の中には多いが、一方で、本物の経営も増えつつある。こういう時だからこそ、この数十年でビジネスパーソンの頭を支配している、いかに儲けるかを基点にしたビジネス戦略は卒業して、社会に貢献することによる、地球の健全な未来に寄与する、こういう観点からのビジネス思考の訓練が求められる時期にあると思っている。


以上

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株式会社ブレインワークス 代表取締役 近藤昇