オンラインでのダラダラ会議はナンセンス

なかなか、オンライン会議は難しい。

私は、この形式を活用し始めてから15年は過ぎた。

新興国ベトナムに毎月半分近く滞在していたので、日本の社員との社内MTGは、オンラインが主体だった。ただ、世間は大企業の一部を除き、まだそういう時代ではなかった。


コロナ禍により、一気にオンラインでの会議が広がった。2年前から、在宅勤務をすることが当たり前になって、テレワーク難民なる言葉も生まれた。


私の持論は、もう20年以上前から、テレワークに限らず、ITという仕事ツールは、仕事のできる人にとっては、確かに使えるし、仕事力が向上するのは疑う余地はないが、もともとの仕事のスキルがない人は、ITというのは、悪い方向に作用すると考えてきた。

最近も、全くその考えに変わりはない。


特に、世間がオンラインでの会議に慣れてきた。営業商談もオンライン化されてきた。

本当に効率よく効果があるのであれば、大歓迎なのだが、今のところ、良い傾向は見受けられない。身内の恥をさらすようだが、オンライン会議には独特のやり方がある。


一番やってはいけないのが、今まで通りの会議を、オンラインに乗せ換えただけ。

一見、何の悪影響もでないと感じる人も多いと思う。その最大の原因は、もともと会議が機能していない、意味のない会議だったとしたら、オンラインになって、変わりようがない。まして、問題点にも気づきようがない。


会議がちゃんと行われている会社は少ない。

理由はシンプルで人間はそもそも会議は得意ではない。特に、社内の会議は惰性でやっていることが多い。

このあたりは、ヒューマンブランドシリーズの“会議のイロハ”に10年前にまとめたが、目的を持たず、結論も出さず、当然、アジェンダも議事録もない。こんなパターンが大半だろう。


こういうものをオンライン化するとどうなるだろうか。更に悪化する訳である。


オンラインで会議をする際に、肝に銘じておく必要がある。それは、そもそもITというツールを使って仕事するということはどういうことかを参加者は理解しないといけない。

1か所に参加者が集まって会議するケースでまず考えてみる。10人程度として、少なくともお互いが見渡せる。しぐさや表情は当たり前に見て取れる。

私も新入社員の時に経験があるが、やはり、人が集まると緊張するものである。ある意味、直接会って会議するときのメリットはこれだけと言っても過言ではない。なぜなら、社員同士は、お互いの事をよく知っていることがほとんどだ。

慣れているいつものメンバーということになる。だから、余計なこと考えなくてよい。


社外の初対面の場合だと流石にこういう訳にはいかない。だから、最初の出会いがオンラインであったとしても、できるだけ早目に一度会いましょう。が良いと私は考えている。

ずっとオンラインが続くと、どうしても、想像の世界が広がっていき、結局これは思考回路に邪念が入る。

これに比べて、基本的には、社員とそういうことはない。お互いに気心知れているから、普段は、余計になれ合いになる。

それを直接の会議だと、その場を仕切る人の力量で空気感は変えられる。

ところが、オンラインというのは、これが結構難しい。オンラインの画面を通しては、確かに、緊張感は少しは醸し出すことが出来たとしても、自分の体は、リラックスした状態にある。

とてもアンバランスな話である。

緊張感と言うのは、心身ともにで初めて意味がある。


直接会った会議と同等に近い緊張感や場の雰囲気はなかなか作れない。だから、社内でする会議は新たなやり方を編み出さないといけない。


まあ、最後に、オンライン会議のマイナス点を書くと、集中力は落ちる。丁々発止の会話はしにくい。記憶が曖昧になる。やはり、直接対話の時の記憶はエピソード記憶に残りやすい。


まだまだ色々あるが、最初の改善の第一歩は、会議の時間を半分にすることから始めるのがよい。そのためには、アジェンダと事前準備を怠らないことに尽きる。


以上

近藤昇オフィシャルサイト

株式会社ブレインワークス 代表取締役 近藤昇