常に例外を考える思考訓練が欠かせない時代

人間は思い込む動物である。

どんな聡明でキレキレの現役の人でも思い込みに支配される。いままでも、何度も私自身が陥ったこともある。


今の常識は未来の非常識ということもあるし、よくよく考えてみたら、ひとつの思い込みが15年前から更新できていなかったりする。

当然、年齢を重ねるとそういう傾向が強まる。


一方、子供の頃、特に赤ちゃんにさかのぼれば遡るほど思い込みはない。前提知識も邪念もない。だから、子どもの発言はピュアだし新鮮で、大人からするとドキッとすることが多い。


今は私は小さい子供と接する機会はあまりないが、昔の記憶によれば、小さい子供と関わる時は、大人ではない子供に自分が戻る必要を感じていたものだ。


思い込みは専門的な言葉に言い換えるとバイアスとニュアンスが近い。

認知バイアスや確証バイアスは有名なところであるが、こちらの研究も相当進んでいるようで、バイアスの種類の多さには驚く。私の手元にはバイアスに関する本が何冊かあるが、なかなか目を通せていない。


まあ、日常生活で、そこまで専門化、細分化されたバイアスを意識して過ごす人は皆無だろう。

バイアスの専門知識を知りすぎると気にすることが多すぎて、かえって平穏な暮らしが難しくなると思う。


だから、普段の生活では、大きなリスクにつながる思い込みは避けたいが、バイアスは普段はあまり意識する必要もない。

ただ、メジャーな認知バイアスあたりをしっかりと理解して意識はしておきたいと私は思う。


ある意味、バイアスは人間が安全に快適に暮らすための本能的な能力だと言っても過言ではない。

しかし、これが仕事では時として大きなマイナス要素になる。


思い込みで失敗した経験のない人は、いないだろう。

今まで大丈夫だったから、次もきっと大丈夫だ。何年もしている仕事で慣れているからミスはしません。彼が言うのだから間違いありません。こんなことが日常会話だと思う。


人間は、バイアスを沢山持っているのと併せて怠け者であるというのが私の考えである。

だから、PDCAが必要で、特にC(チェック)を怠らないことが組織活動には不可欠だ。


三現主義(現場、現物、現実)がこれほどいたるところで、連呼されるのも人間の思い込みをカバーする考え方である。人間にはつきものの、ヒューマンエラーも思い込みに起因することも多い。


人の話や世間の常識を疑いだしたらきりがない。

だが、疑うのではなく、考えることは自由だ。本当にそうなのか?と考えてみる習慣が大切だ。


最近読んだ科学の本は面白かった。

科学は99.9%が仮説であるだ。このタイトルはにわかには信じられない表現だ。

だが、じっくり、読み進めると著者の言わんとすることはとても分かりやすい。


常に、反証の余地があるのが科学である。納得感半端ない。考えてみたら、私たちは統計を生活やビジネスのいたるところで活用している。

意識するかしないか別として、なんだかんだ科学的な会話も多い。


特に有名であったり権威があったりする人の話は鵜呑みにしてしまう傾向がある。

そういう人をあっさり信用してしまう人は多い。そして、その人が発言したことは全て正しいとなってしまう。


世の中には、必ず例外が存在する。私も統計学などはとても重要視しているが、それだけで判断したり行動したりはしない。


統計と言っても、私は例えば血液型診断は全くあてにしない。なぜなら、例外と言うのは沢山あるし、血液型よりも、例えば長男次男の違いによる性格診断やプロスポーツ選手の活躍分類などの方がよっぽど説得力がある。もちろん、これにしても必ず例外がある。


私が長年、思い込みを防ぐために意識的に行ってきたことが、例外を考えるということである。良い意味でも悪い意味でもだ。


例えば、100人に99人はこの病気は治る。と言われたらほとんどの人は安心する。ただ、100人に一人は、そうでない訳である。そういう例外もあり得ることを考えておくことは、仕事においてはとても重要である。仕事では百回に1回どころか、千回に1回、一万回に1回の事故を防ぐことが要求されること沢山あるのだから。


以上

近藤昇オフィシャルサイト

ブレインワークスグループ CEO 近藤昇