中途採用に失敗しない方法があったら教えて欲しい

中途採用か新卒採用か?

どちらを優先するかを迷っている経営者や会社は実に多い。


これは、日本でも米国でもプロ野球の常勝チームがハマりやすいジレンマにも近い。

そしてこの類の話題をメディアはとても好む。シンプルに書くと、新人の育成よりも勝つことを優先し、大金を使って即戦力を獲得するやり方がメディアの格好のネタになる。


そして、結果はほぼ一緒で、稀に成功事例はあるが、たいてい失敗する。それでもまた、何年もしたら同じことを繰り返す。

プロ野球であれば、新人を育てながら勝つ監督が超一流とされるが、日本の歴史でもそういう事例はレアケースだ。


よくある議論が、数年は優勝することを諦めて将来に備える。これなら取り組めるが、常勝チームはこれが許されない環境にある。だから、こういうチームの監督は、即戦力も必要となる。私が思うに、新人を育てることを放棄している訳でもないがメディアはこういうところを誇張したがる。


これを企業経営に当てはめてみる。

普通の企業は、常勝チームでなければならない。勝つことを諦めて数年先の勝負などありえない。


少なくとも1年単位の会計年度が勝負だ。

金融機関や株主の要求もその尺度だ。

そうすると、既存の企業も起業したばかり企業も、即戦力が欲しくなる。特に起業したばかりの経営者は、数年経って会社経営が落ち着いて、ようやく新卒採用にチャレンジするのが定番のパターンだ。これはやってみたら分かるが、当たり前のことだ。


創業時は、余裕がある訳ではない。その日暮らしだ。日銭がどれだけほしくなることか。こんな時に、新卒採用してじっくり育てることは、なかなか出来ない。要するに先行投資をしている間に、会社が消えてなくなる。起業経験者は皆この苦しい状態を越えてきている。


スポーツの世界でもビジネスでも結果を出しながら、人を育てるのは大変なのである。


逆に言うと、結果を出さないといけない状況でも新卒採用ができるということは、それだけ余裕があるのである。それを見かけだけで判断をして、先見性と言うならば、本質とはズレている。


そんな訳で、中途採用が新卒採用よりも採用においては、大きなリスクになる。

これも野球で考えてもすぐわかる。まず、中途採用はそれなりにコストがかかる。


未だに、自分が転職しようとしている立場でも知らない人がいるのが不思議だが、人材紹介系を経由すると、採用する側は、年収の3割程度の紹介料を支払うのが、業界の標準になっている。


だから、1年目のコストは、例えば、年収600万円の人を採用しようとすれば、実質のその人の雇用のコストは少なくとも1.4~1.8(会社による)掛けして約900万円前後。それに年収の3割の180万円が余計に加算される。それでも、結果を出してもらえれば問題ないのだが、なかなか難しい。中小企業ではミスマッチが続発する。


私の会社は、創業3年目から新卒採用に取り組んだ。採用しなかった年もあるが、基本的には新卒組が毎年入社している。最近では、ケニア人やネパール人も採用している。平均的な中小企業のなかでは、突出して多国籍の会社だと思う。


中途採用については、こちらも創業数年目から以降20年に渡って、随時チャレンジしてきた。今の幹部にも20年以上前の中途採用組もいる。その反面、ほとんどがうまくいかなかった。成功事例はもちろんあるが、数少ない。


これはお互いの問題でもあるので、良い悪いではない。しかし、私が思うにミスマッチという部分と、そもそも、中途採用のスキル評価はとても難しいということが原因だ。


少なくとも、中途面接に来る人が、自分はここが苦手です。ここは自信がありません。ということを積極的に面接で開示することはない。


当たり前のことであるが、そういう部分ではなく、自分の強みやそれなりの実績を中心に話する。中途採用は、紹介会社にたよらなくても可能だが、仮に紹介会社に目利きを期待しても、それも同じような理由で無理だ。


そこで適性検査なるものも駆使もする。私も何度もトライする方なので、色々と方法は試した。中途採用インターン的なことを試したこともある。


プロ野球でも中途採用はなかなかうまくいかない。ただ、少なくともこの世界は過去の実績や、持ち得ているスキルなどは開示されているし、客観的な実力を測る指標も沢山ある。


一方、ビジネスの世界では基本的には自己申告がベースである。ミスマッチがおこる要因はここにある。

そこで、ITを使えないかと経営者なら考えるのが今どきだ。今はAI採用が話題にもなっている。私はAIへの過剰期待には賛成ではないが。

もし長い目で見ることが出来れば、採用する側も転職する側も、WinWinになる時が来る期待感はある。


転職する人の全ての仕事のキャリアがビックデータの中に蓄積され、それをAIが判断して、自社の採用候補になるか教えてもらえる。

そういうスクリーニングを行ってから、面接をする。こんな仕組みができればよいと本当に思う。


仮にこういう世界になっても、今の自己申告をベースの世界でも、等身大のPRが出来て本当に仕事ができる人にとっては何ら問題はない。


とは言え、自己評価は他己評価よりも甘くなるのが、人間の性ではある。

頑張って自分に下駄はかせして、面接をなんとかクリアーすることを優先している人にとっては、困った世界になると思う。


以上

近藤昇オフィシャルサイト

ブレインワークスグループ CEO 近藤昇