似たようなITツールほど使いにくいものは無い

IT業界ほど、似たようなサービス、商品が乱立している世界はないと思う。

しかも、毎日のようにエスカレートする。


ビジネスに限らず一般の生活者がITサービスや製品に触れる機会が激増している。

その背景には、IT社会が急速に進展しているからであるが、私たちの周りにあるものはとにかく使いづらい。製品ごとの違いが利用者の負担になっているのは明らかである。


例えば、コロナ禍で一気に広がったWeb会議。TV会議ともいうが他にも色々な呼び方がある。基本的な原理は同じだ。

にもかかわらず、全く違うサービスに感じてしまう。


基本機能は似たようなものなのに、なぜ、ここまで違うサービスに感じるのだろうか?それは専門的見地から言うと、操作性が違うからである。

よくUI(ユーザーインターフェース)とかGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)で表現されるが、ユーザーインターフェースを各社創意工夫しているからである。


実際、私のような仕事柄、ある程度メジャーなものを複数比較しておく必要がある立場だから、色々と使うことを意識している。


ビジネスにあまり関係がない一般の人が、このコロナ禍でオンライン会話を誰かとしようとしたときに、同じ仲間内だけであれば、一つのツールに決めてしまえるのなら楽だろう。


例えば、MeetとかZoomとか、あるいは昔からあるSKYPEも優れものである。

ところが、普段あまり縁のない人と接したりすると、結局は別のWeb会議のサービスに接続しないといけない。どちらかが相手に合わせないといけない。


理想で言えば、3人でWeb会議するとして、自分はSKYPE、AさんはZOOM、BさんはMeetsでそれぞれがつながればよい。

しかし、それは現実的に無理である。

仮にそういうサービスを提供する会社が存在したとしても、このサービスも結局複数が乱立することになる。


比較のために、一般の人でも馴染みのある車を考えてみる。

世界中に様々な車が走っている。

しかし、それなりのドライバーであれば、どんな車種でも運転席に座れば運転できる。


左ハンドルか右ハンドルかの違いが一番気になる違いだろう。それ以外は車の機能は基本的にほぼ同じだ。つまり、車を運転すると言う基本的なことに関しては、仕様がほぼ世界中で統一されていると言える。


車の運転で違いがあるのは、車そのものの操作性よりも、実際に走る交通環境だ。これは、国別に当然違うし、日本国内でも高速道路、田舎の細道、山岳地帯などなど、同じ車で沢山の用途がある。


こういう感じで、オンラインツールの一つ、Web会議を比較してみると頭が整理しやすい。


今のところ、こういう類の製品は、ITの仕組みから言うと、原理原則は全く一緒だ。インターネットの通信インフラがあり、それを利用して画像と音声で通話ができるサービスである。


商品での差別化はなかなか出来る事はない。車で言えば、エンジンやデザインや躯体に該当する部分は、利用者には全く見えない。ソフトウェアの中身はよっぽどの専門家ではない限り、見ることが出来ない。


それと同時にサービス提供会社もそれほど他社との違いを工夫できることもない。必然的に差別化を図るところは、人に見える操作性の部分に集中する。

だから、後発のサービス会社は、GUIやUIで先行する他社商品と違う仕様が次々生み出す。


もう一度、書くと、全員が1社だけのサービスを使えばよいのであれば、皆が一つのサービスに慣れてしまえば支障がない。しかし、それぞれ違うサービスを使っているとつなげることは、今のところ困難だ。結局、利用者の負担になっている。


スマホはもっとシンプルだが似たような問題がある。

私は、仕事柄、iPhoneとアンドロイドの両方のスマホを一時期持っていた。結局1年ほどでiPhoneのみにした。理由は簡単だ。


仕事柄両方を把握しようと思って使い始めたが、まったく似つかぬ操作性に混乱が増すばかりになった。だからやめた。もっとも、こういう使い方をする人はなかなかいないので、問題は顕在化されているとは言い難い。


話を元に戻すと、これからビジネスは言うまでもなく、一般の人もオンラインでの活動が増えていくだろう。その時に、幾つもの操作性の違う似たようなサービスを使うのは酷だ。


今のWeb会議は単なる始まりに過ぎないと思っている。

固定電話が日本に普及した時、携帯電話が普及した時。いずれも操作はシンプルだった。今でも、自分がどのメーカーの電話の機種を使っていようとも通話は簡単だし、相手がどの機種か、どのキャリアかは関係なくつながる。


お互いに、どんなWeb会議を使おうと、双方向で自由につなげられる時代が来るのがやっぱり自然だと思う。

以上

近藤昇オフィシャルサイト

ブレインワークスグループ CEO 近藤昇