日本のかつてのサービスの品質は維持できるのか?
日本のサービス力は世界でも断トツでトップクラスだ。現実に、私たちが海外に行くとそのことを痛感する。
特に、アジアの新興国のサービス力と比べると、このギャップ感に驚く。
今の日本の高校生のアルバイトが、新興国でサービスの現場に入ると、ハイクラスのサービス力を実現できる人として、尊敬されるだろう。
もちん、新興国も徐々にではあるが、サービスの質は高まっている。しかし、日本国内でいると分かるが、日本は都会でも田舎でもどこに行っても、サービスが行き届いた国である。
ところが、ここ数年ぐらいのスパンで見ると、人手不足で、日本のサービス力は間違いなく低下傾向にあると感じる。
実は、日本の人口減少や高齢化が経済や私たちの生活に影響を及ぼすことが、知られることになって来た20年ほど前。真っ先に、サービス人材が枯渇するという論調もあった。その時の経営者は、それほど重大ごととしては認識がなかったと思う。
感覚的には、製造業や建設業、第一次産業での人手不足は、ピンときやすいが、サービス産業の人手不足は、すぐには実感がわかない。
特に、地方の過疎化の中で、地方に行けば、高齢者ばかりの場所が増えている。地方には、観光業などが重要産業の一つで、この分野には、サービスを提供する人材が必要だが、適齢期の人がいなくて、サービスの品質も低下する。
都会でも地方でも、コンビニや居酒屋には、外国人のアルバイトが沢山働いている。彼らは、日本に学びに来ている留学生が大半だ。当たり前の話だが、訓練された日本のアルバイトとは違う。高級旅館やホテルレベルのおもてなしが必要なサービスではない。
世の中には、セルフレジも普及していく流れだ。だから、コンビニや居酒屋のサービス力が落ちてきたとしても、それに失望して店の評価としたりする人は少ない。
だから今のところは、本当に日本のサービス力の源となってきたハイサービスの領域は健在だが、今後は、この領域の働き手も減り続ける。
海外からの観光客も観光や買い物だけでなく、日本のおもてなしに期待している人も多い。ここにも外国からの労働者が代替えできることも期待したいが、それはなかなか、困難だと思う。
日本のサービス力と言うのは、日本に生まれ育って培われた習慣や感覚がベースにある。当然、サービスを提供する人も、自分たちがお客さんの立場で、日本のサービスの現場を数多く体験している。こういうことを、一朝一夕に外国人ができるようになるには、ハードルが高い。
私は、外国人がダメだと言っているのではない。日本が世界に誇って来たサービス力の維持は風前の灯火になっているのではないか、と言いたいのだ。
ごく一部の伝統的な文化やスペシャルサービスだけの日本になって行くのか、日本の世界に通用するサービス力をあらたなやり方で、再構築するのか、大きな瀬戸際にあると思う。
デジタル化の話題でにぎわっている中で、今一度、人間自身が行ってきたサービス力の価値を見つめなおす時期にあると思う。
以上
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