仕事におけるプロとアマの境目は実に曖昧

会社で仕事をしている人が必ずしもプロとは限らない。

なぜなら、新入社員は、少なくとも見習いの範疇で、給与をもらいながら、仕事が一人前にできるようにするための教育の機会がある。

OJTと呼ばれて、先輩と一緒に、アシスタント役などをしながら、仕事を覚えていく制度もある。職人名の世界で言えば、丁稚奉公だろう。


仕事の職種や種類によるが、早くても2、3年。長ければ、数年かけて、一人前に育つ。私自身の経験から言えば、本人の取り組み方の問題もあるが、自分で仕事ができているという実感は、20代後半になってから持った。

とは言いながら、常に新しいことをすることが多かったので、一人前になった感覚は、20代ではなかった。経験上、仮に一つの事を10年近くやっていたら、結構なレベルまで行くのではとは思うが。

いずれにしても、会社員として働く仕事のほとんどは、プロとアマの境目は曖昧であると思う。


スポーツ選手などは、このプロとアマの違いははっきりしている。ゴルフであればプロテストがあり、自分の稼ぎは試合で獲得しないといけない。野球であれば、アマの時に突出して活躍してスカウトの目に留まれば、プロ野球選手になれる。もちろん、とてつもなく高いハードルである。

しかし、それを乗り越えてプロの道に進んだとして、ずっと2軍ではいずれプロを辞めないといけいない。これだけ考えても、プロは明確である。


また、一般の仕事でも、医者や弁護士などは、国家資格を持たないと仕事そのものができない。だが、資格を持っているからと言って、プロとは言えない。現場で実践してはじめてその職業人として成り立つ。


では、一般的に会社員のする仕事で、プロと認められるレベルとはどういうことだろうか。

例えば、50歳をすぎで、自分がやっている仕事がプロのレベルに達していなければ、それこそ、給与泥棒と言われてもやむを得ない。

もっとも、組織としてみた場合、どんな組織にもこういう集団は存在するのも事実ではある。


仕事ができる人=プロという考え方ももっともらしい。では、この仕事ができるとはどういうレベルなのだろうか。

一つは、実績だろうか。いわゆるプロジェクトを成功させた実績があれば、その道のプロと認識されるだろう。

あとは、第三者の評判である。日本では、転職の際、推薦状の制度がないが、欧米などでは、当たり前である。転職でなくても、取引先や仕事の関係者からの評判が良くて、プロと認められていれば、客観的な指標としてはプロと言える。


仕事の世界でも、色々と資格がある。流石に、こういう類の資格は、持っているだけではプロとは言い難い。

プロとアマの違いを改めて考えてみると、一般的な会社にとって、どのレベル以上がプロであると基準を設けている企業は皆無だ。


たいていは、ベテランで仕事ができる人を基準に相対的な評価、それを人事評価制度と言う事が一般的だが、ある意味、仕事スキルや実績評価の相対的評価の中で、組織内で優劣をつける。


だからと言って、ある人はプロである人はアマだとは言えない。結局、企業は組織で仕事をするわけだから、仮に新入社員でも、バリバリのプロのプロジェクトチームに所属して、なにがしかの役割を果たせば、それはプロの仕事に従事したと言う事にはなる。

だが、個人としてのスキルは、初心者のアマレベルである。


プロ意識と言うのはとても大切だが、どういう事が出来たらプロになるのかを、常に、把握する努力を怠らないことである。そのためには、身近な人で、世間からプロと認められている人を羅針盤にできるのが一番良い。


以上


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株式会社ブレインワークス 代表取締役 近藤昇