DX時代の購買履歴を活用する商売ってどう?

まあ、マーケティングの仕事をしたことがあるとか、CRMに詳しいとか、営業で突出した実績を残しているとか、こういう人には釈迦に説法だとは思うが・・・。

RMFというマーケティング、顧客分析の手法がある。

少しだけ解説すると、

RはRecency、MはMonetary、FはFrequencyであり、日本語では、Rは最終購買日、Mは購買累計額、Fは頻度となる。


このRMFという指標を用いて、優良顧客(あるいはロイヤルカスタマーという言い方もある)を発掘し、手厚くフォローやサービスをしましょうという考え方だ。日本でもすでに20年以上前から、顧客の囲い込みが重要な経営課題になった頃から、活用されている。

このあたりは、ITを使うのが効率的効果的なのは誰の目にも明らかだ。なぜなら、RMFを正確に把握することは、IT無くしては容易な事ではない。今では、RMFよりも遥かに、綿密に広範囲に顧客の行動把握、思考把握ができる時代だ。


それは、SNSなどか最たるもので、購買せずとも顧客の関心や欲求が分析される時代だ。投稿やコミュニケーションから得られるビックデータを使ったターゲティング広告などが有名だ。

もっとも、行き過ぎていたのを是正する動きの方が今は本流になった。


実は、私も20年ほど前は、法人顧客の営業力強化や顧客満足度の向上(CSの向上)に関するコンサルティング&実行支援をしていた時に、よく活用した。

中小企業でも理解しやすい指標だからだ。要するに、自分が顧客とした場合、気に入った店には、よく通うし、商品も買う、というのはどんな社員でも自分事として自覚があり、腑に落ちやすいのである。

ますます、日本の顧客の囲い込みエカスレートしている。データサイエンスを活用した企業経営の話題も盛んになっているが、そのほとんどが、どうやって、顧客を発掘し顧客を囲い込むかのためのデータ分析と活用の話だ。


・そんな綿密に顧客の行動や好みを把握して、一体どうしたいのか?

・無理やり余計なものを買わせたいのか?


以前、このあたりの私の考えは、ブログに書いたことがあるが、ますますエスカレートしているようだ。今、企業ではリスキリングの波に飲まれそうだ。政府が膨大な予算を投入すると発表している。そのほとんどのテーマがITやAIやDXである。それは裏を返せば、如何に、上手にITを活用して、顧客を囲み込み、少しでも多くの購買を促すことである。


当然、これからの働き方は、大きく変わる。

テレワークであったり、RPAの活用であったりで、もっと、ゆとりを持った働き方が推進されるだろう。それは歓迎したいが、問題なのは、働き方も大事だか、どんな仕事をするかである。


今、日本だけではないが、地球規模の課題も幾つもあるし、国内だけ見ても社会課題は沢山ある。ここに顧客と言う概念はほとんど存在しない。

生活者や市民と言った人たちが対象となる。


日本も外国に比べたらギャップが少ないとはいえ、格差社会が進行している。

恵まれた裕福な側にいるから購買が平均以上にできる。企業は、そういう人たちを優良顧客する。そこに、先進的なITを活用する。相変わらずいびつな経済メカニズムである。


そろそろ、これからの日本や世界にとって必要な事が何かを学んで知ることが大切だ。

そういう意味では、購買履歴よりも行動履歴の方がよっぽど大切だと思う。例えば、エッセンシャルワーカーと呼ばれる私達の社会生活に欠かせない仕事、介護、医療、運送、第一次産業などなど。人間が汗水たらす世界での一人一人の行動履歴の方が、世の中のために役に立つと私は確信している。


以上


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株式会社ブレインワークス 代表取締役 近藤昇