男女差をどう考えるか?

高齢社会の問題や課題解決の議論をしたり、活動したりするときに、どうしても私たち男性が思い込んでいることがある。


それは、働く人を主体で高齢化社会を考えることである。主だった高齢化社会の話題を幾つか挙げてみる。定年延長、シニア起業、シニアの遣り甲斐発掘、シニアのセカンドチャレンジ、シニアの自立・・・。

これらは、ほとんどが男性中心の名悩みであり男性社会(こういう社会が実際にある訳ではないが、意識としては働いている人はどうしてもそうなる。なぜなら、今の60歳以上を見た場合、圧倒的に働いている人は男性が多いから)を基点にした考察や課題解決ばかりの話が目立つ。


拙著“もし波平が77歳だったら”を上梓してはや6年が過ぎた。


本の出版をきっかけに、シニアセミナーと称して、アクティブシニアを中心にセミナーや交流会を頻繁にするようになった。

主催者の私も、単純に考えて、60代後半になっても、70代になっても、なお現役で活動する。とりわけ仕事をしている。あるいは、新たな仕事を座化している人が必然的に集まってみた。

それはそれで、盛り上がっていた。こういう活動はあるようで少なく、特に、私たちの会社の関係者はシニアから見たらとても若く、シニアから見たら、その交流だけでも価値があると思っていただいた。

また、私たちの特徴は、ベトナムなどの海外との交流も行った。これもまた、シニア世代には新鮮であったり昔、商社マンや海外駐在の経験があったりする人には特に喜ばれた。


そんな時、株式会社ライフカルチャーセンター代表取締役の澤登信子さんが私におっしゃった。

“いつも、男性ばかりでつまらないし、本当のシニア支援にはならないわよ。近藤さん”。

この一言は今でも脳裏に焼き付いている。


その時、すでに"もし77歳以上の波平が77人集まったら"で、アクティブシニアを特集した本を上梓していたが、中身を振り替えるとほとんどが男性だった。

澤登さん鋭いご指摘に刺激された私は、今度は、70歳以上のフネさんが70人集まった本を出版することにした。

それまで、まったく意識になかった、知らなかった、70代のお元気な女性の人生を垣間見ることが出来た。

考えてみたら、この世代の女性はほとんどの人が専業主婦だ。もちろん、農業などであれば、働く一員と言えるが、それは今でも変わらない。

少し考えれば分かる事だが、高齢社会を良くしようとか、課題解決をしようとするときに、男性中心の働く社会だけ見ているのでは、完全に片手落ちだし、本当の高齢化社会の課題も解決も見えてこない。

そして、実際にお元気なシニアの女性の生き方や知恵の価値にも気づけない。期せずして、コロナ禍になり、自然回帰、田舎の生活を見直す動きが盛んだ。いわば、暮らしから見る高齢化社会なのである。

澤登さんとさらに意気投合して、"暮らしの物語"を発刊したのは本当に必然だったと思う。澤登さんのつながりを暮らしの物語としてまとめた本である。女性の生活の知恵や暮らしのノウハウ、伝統や文化の伝承に貢献している様子が手に取るようにわかる。


私達は、まだ、シニア予備軍だ。周りを見渡せば、働く女性は劇的に増えた。更に若い世代になるとほとんどが一度は働くと言っても過言ではない。1985年に制定された雇用機会均等法などによって、働く女性も増えてきた。

ジェンダー指数の国際的評価はまだまだとても低いが、女性の人生ほどキャリアチェンジが多様で回数は多い。一方で、働く機会がほとんどなかったシニアの女性がこれから、社会貢献も含めて、活動機会が増えていくのはとても自然だ。

今は、まったく、まっさらの状態。

高度成長時代の成長ありきの経済メカニズムに染まっていない。地道にコツコツと積み上げてきた暮らしの知恵や体験が、これからの日本や世界が必要としていることである。

シニアの女性に大いに期待したいし、更には、そういう女性に男性シニアも私達ももっともっと学びたいものである。


以上

近藤昇オフィシャルサイト

株式会社ブレインワークス 代表取締役 近藤昇