ITと記録の時代のQOLを考える

急激に記録の社会が進展している。

IOTというIT用語が登場してまだ10年と経っていないが、私たちの生活環境ではIOTによる記録が見えないところでどんどん進んでいる。


IOTを解説すると、InterNet of Thinksで、インターネットであらゆるものがつながる概念だが、具体的には、センサーと通信で様々なもののデータを取得し記録することだ。今どきは、クラウドシステムが介在して、利用者が収集蓄積したデータを有効に活用できる仕組みが一般的だ。


センサーにも種類が沢山ある。温度、湿度、振動、傾斜、・・・様々なデータをセンサーで取得できる時代だ。私達の知らないところ、私達に見えないところに沢山センサーが仕込まれている。冷蔵庫などの家電もそうだし、今どきの車はセンサーだらけだ。


こういう世界の記録は私達生活者が意識することもないし、利害もそれほどあるわけではない。今世間で騒がれ続けている情報セキュリティーに関しても、IOTの世界の情報はまだそれほどセンシティブなものはない。


一方で、個人情報に関する記録は、とてもナーバスである。

例えば、病院のカルテ。昔は紙だった。いまでもそういうところは残っているが、電子化が劇的に進む。電子化されるという事は、容易にコピーできたり誰かに送信ができたりが可能な状態だ。


確かに、紙のカルテはそれをバックアップでコピーして保管していない限り、原本が消えたら終わりだ。一方、デジタルデータは、情報の保全体制と運用をしっかりすれば、永久保存できる可能性はある。諸刃の剣ではあるが、デジタルの記録の利便性は高い。


コロナ禍のなかで、印鑑も電子化される流れだ。一筋縄ではいかないだろうが、これが変わると劇的に私たちの仕事や生活が変わる。私なんかは、立場上、実印を押す機会は多い。

銀行借り入れから始まって、テナントの保証、リースの保証。正直毎回煩わしい。保証する行為は変わらなくても、この辺りが電子化されると私の様な立場もメリットは大きい。


これと似たような事が、海外に行くと契約書のサインがある。サインするのは簡単だが、実はベトナムの契約書というのは凄い量だ。

10数年前に、合弁会社を設立した時には本当にうんざりした。なんと100枚を超える契約書の全ページにサインを要求されたのだ。


どれだけ印鑑の方が楽かを痛感した事か。

そういう意味でも早く電子化が進行して欲しい。


実は、デジタルの記録と言うのは実に不思議な概念である。

目に見えないだけに分かりにくい。

今、一般市民も仕事する人も、ひたすら記録し続けていることがある。

一つは、能動的にするSNSなどの投稿だ。もう一つは、自分たちがもしかしたら知らない中での、私たちの生活の記録だ。


両方合わせると、結構に情報量になるし、センシティブな情報も含めて、私たちの生活や活動はまるわかりだ。当然、都会に住む人ほどそういう状態になるだろう。


先日、ネットの記事に目についたものがある。

70歳手前の女性が、今どきのスマートツールを覚えた。SNSにもアクセスできるようになり、とっても幸せ感を体験したと。

よく読むと、不幸にして娘さんが亡くなった。

お母さんは娘さんと離れて暮らしていたので、どういう生活をしていたか、楽しい人生だったかなど、ほとんど知る由もなかった。娘さんのSNSを覗ける様になって、娘さんの人生がそこに記録されていた。


実際に、こういうことは当たり前になってくるだろう。


随分前から、SNSで投稿したコンテンツを本人がいなくなったときどうするかという問題も生じている。

永遠に誰も見られないようになるのか?

遺族が引き継ぐのか?


ただ、一つだけ間違いないのは、SNSなどを運用する会社が意図的に削除しない限りは、永遠にどこかに残る可能性のある時代なのだ。そもそも、原本と言う概念がないだけに、ひとたび、コピーや画像で幾らでも拡散される時代だ。


こういう時代感をもって、自分たちがQOLを実現するために、有効に活用する方法は幾らでもあるし、どんどんそういうサービスが登場するだろうことは想像に難くない。


不思議な時代に生きているとつくづく思う。


以上

近藤昇オフィシャルサイト

ブレインワークスグループ CEO 近藤昇