判断基準の共有ができれば仕事の組織運営力は飛躍的に向上する

組織活動は、毎日が判断の連続であるといっても過言ではない。

自分一人でしているのであれば、その日暮らし的なことでもなんとかなるかもしれない。

しかし、人が集まって組織になるとそうはいかない。


会社であれば、社長がいて、その下に部長がいてそしてさらに部下がいる。大企業にもなると一事業部でも1000人の組織にもなる。

一方、中小企業でも20人、30人の単位で組織活動をする。


仕事は出来るだけ部下に任せるのが良い。

権限委譲とあわせて部下に仕事を任せることは組織運営にはとても重要だ。

もちろん、任せられるスキルが必要になるが、それ以上に任せる以上は判断も任せる必要がある。

大企業には今でも稟議というのがある。

現場から上がってきた決裁事項や提案内容を承認する仕組みであるが、海外から見たらこの稟議は日本のビジネスの硬直的な象徴的な仕組みの一つとされることがある。


ベトナムなどでも、日本の大企業は、ビジネスの実行に中々承認が下りない。石橋を叩いて渡る日本企業の特徴に加えて、稟議システムが遅延の元凶のように言われてきた。言い方を変えると、即決即断できない日本の企業ということになる。


これぐらい大きな話になると、ピンとこない人もいるかもしれないが、どんな仕事も結局は判断するべきことが生じた場合、誰かが決定する必要がある。

現場や最前線の社員が決定できると俊敏な活動が出来る。日本の場合は、海外から見たら今のところ、そうはなっていない。


海外の基準に合わせるためではないが、今は即断即決できる組織運営でないと今のように激しく変化する経営環境では生き残っていけない。だから現場に権限委譲して、現場で判断できることを増やしていくことが重要だ。 


この際の重要なポイントが、判断基準の共有である。判断の権限を委譲できない最大の理由は、判断基準が標準化されていない、仮にそれができていても共有されていないことである。


例えば、営業部隊の見積もり承認と言う役割がある。業種業態にもよるが、住宅建築の仕事だとする。一物件は2500万円。当然、見積もりのひな型はあるとしても、利益をいくらにするかは営業部隊の裁量でもある。

 

流石にいち営業担当者が一人で決められる数字ではない。そうすると、誰が承認するのかということになる。

その役割の人は、社長であっても部長であっても主任であっても同じような判断基準にのっとって同じような判断ができることがポイントである。


この判断基準は、中小企業であれば社長や部長だけが知っていますということは多々ある。属人的で見える化されていないとすれば、共有は困難である。


また一朝一夕に判断基準が定まるわけではない。何事も仮説から始まる。数多くの事例を積み重ねながら、判断基準もブラッシュアップする必要がある。


また定期的に判断基準の見直しが必要である。経営戦略と連動する必要もある。

民間企業に限ったことではないが、行政でも病院でも大学でも人間がすることは似たようなものである。

判断基準の共有と実行をしっかりできる組織に変貌することで、今のIT適応時代を乗り越えていくことが出来るのである。


以上