オンとオフの切り替え、いずれは死語になるかもしれない

近藤さん、“褒めるか怒るかどちらかにしてください”
創業して間のないころ、元部下が言った言葉が今でも強烈に残っている。
 
会社を作ると決めたとき、経営者としては駆け出しで未熟でも、会社のスタイルは真っ先にイメージできた。
私の場合は、SOHOワーカーでスタートしたので、“自由に” が前提だった。加えて、フレックスタイムが流行していた時期だと思うが、これも普通に取り入れた。
 
もう一つ、意識したのがオンとオフの切り替えだ。
もともと、会社員をやっていた頃から、お付き合い残業は全くしなかったし、仕事は効率よくさっさと切り上げるタイプだった。もちろん、いざという時は、上司の言われるままに休日出勤などもしてはいたが、会社の仕事が終わったら、完全なオフタイムで20代を過ごしていた。
 
もう一つ、ザ・サラリーマンの世界に10年近く、身を置いている間、飲み会での会社の愚痴ぐらいつまらないものはないと思っていた。
新人の時はとにかく、先輩が飲みに連れて行ってくれるのは良いが、会社の愚痴、同僚の愚痴に辟易した経験もある。
 
だから、私は、20代後半ぐらいからは、楽しい飲み会しかしないことを心に決めていた。
 
こんな背景と、もともとのはっきりした性分の私は、自分の会社では、それを意識的に徹底しようとして、オンとオフの切り分けをはっきりした。
 
例えば、こんな具合だ。
仕事でミスがあり、それを散々注意する。MTGが終了したら、さっさと切り替えて同じメンバーで飲みに行く。仕事の話は一切しない。いわゆる無礼講だ。
こんなことを繰り返していて、冒頭の話になった。
別でパートの女性社員からはアメリカのような会社ですね。と言われたこともある。
 
そんな訳で、私は、今でも物事の切り替えは早い。だから、仕事のオンとオフの切り替えも早いという風に思われがちだ。
如何せん、社長業と言うのは不思議な職業だ。まあ、オンとオフはないに等しい
基本的には、誰かに言われて仕事している訳ではないので、好き勝手と言えばそうだ。だから、オンもオフもなくなる。
 


 
こんな経営者としての典型の行動パターンは、今のはやりで言えば、ワーケーションそのものだ。
創業以来ずっとワーケーションといっても過言ではない。だから、今の急激な環境変化にも苦も無く適応できている。
 
私達、経営者は特殊な職業だ。全て自己責任の世界なので、それこそ、人に迷惑かけたり、法律に触れない限りは、基本的には自由だ。
 
一方で、急激な変化の中で、いわゆる会社員のオン・オフが曖昧になる事は、社会的な問題を生み出していると思う。
在宅勤務などはその典型だ。オンとオフの切り分けは極めて難しい。
 
コロナ禍で急速に広まり、弊害も多くの人が体験し、ストレスも溜まっている人も多い。それでもオンライン体験も含めて、ワーケーションで自由な場所、環境で働くことを体験した人も少なからず存在する。この意味は大きい。
 
コロナ禍が去った後、やはりオンとオフのない自由な環境で働く事を求める人が増えると思っている。
もちろん、そのためには、自立と責任が必須だ。
そしてその次は、企業が働く人たちのために、どう進化するかも課題だ。
企業がオンとオフの切り替えを強く求めなければ、オンとオフの区別は過去のものになるように思う。なぜならば、一番人間らしい働き方ではと私は確信しているからだ。
 
以上